ある日の午後。
いつもと同じ、何気ない時間のなかで。
ふと、気づいた。
ああ――
満ちていたんだ。
ずっと、すでに。
探していたものは、
遠くにあると思っていたのに。
わたしは、
グルグル回る車輪の外側に
一生懸命にしがみついていた。
でも、そのまんなかに、
静けさがあった。
あり続けていた。
振り落とされる恐れも、
戦う必要もなかった。
ただ、
そこに帰ればよかった。
安心していて、
ふ〜っとくつろいで、
何も足さなくても、もう、いい。
それは「再会」というよりも、
帰還だったのかもしれない。
神さまは、
まんなかに、
いつでも、ずっと、いた。
なにかが劇的に変わったわけじゃない。
朝起きて、顔を洗って、子どもにごはんを作って。
いつもと同じように一日が流れていく。
でも、
ほんの少しだけ、世界が静かになった。
やることは変わらないのに、
おなかの底が、ふ〜っとやわらいでいる。
「これでいい」というか、
これしかなかったんだ。
なにかを変えたり、正したりする前に、
すでに、ここに、こう在る。
その静けさに気づいた日から、
いつでもそこに戻っていいんだって、わかった。
なにかを得たわけじゃない。
なにかが起きたわけでもない。
ただそれだけのことなのに、
すべてが、いつのまにか、しんと澄んで見えてきた。
コメント